エクバラム遺跡の全て!バジャドリードからすぐ近くの美しいアートピースが見られるマヤ遺跡

エクバラム遺跡はバジャドリードからすぐ近くにある遺跡の一つで、チチェンよりは有名ではないものの遺跡好きの私としては必ず見ておきたかったマヤ遺跡。
思ってた以上に、見ごたえのある大きな遺跡でびっくりしました。
私がメキシコにはまっているのも、遺跡はかなり大きな理由の一つになっていて、新しい遺跡を訪れる事に、さらにその遺跡の歴史を知ることによってより深くメキシコのことが好きになっていっています。
このブログを通して、遺跡に興味を持ったり、メキシコが好きになってくれる人が増えたらいいなと思います。
エクバラムのマップ

エクバラムの名前
エクバラムというのはマヤの言葉で、黒いジャガーもしくは明るく光る星のジャガーという意味。
エクバラム遺跡の一番栄えた時代は、西暦700年~1000年頃。といっても、エクバラム遺跡の歴史は古く、紀元前100年頃から住居などの建築が始まったと考えられている。少しづつ大きくなっていって、最後には巨大な建物群ができるまでになった。
さらに、スペイン人がメキシコに入植してきた時代から後もここには人が暮らしていたそうだ。
エクバラム遺跡の建築物

エクバラム遺跡で特に目立つのが、何かから守るように作られた壁。入り口には複数の壁がある(ぜひマップをもう一度確認して見て下さい)。二重にぐるりと同心円状に壁が作られています。
それだけ敵からの攻撃を守る必要があったのだろうか。いや、シンボル的な役割だったと書いてある文献もあった。きっとどちらの意味もあったに違いない。
エクバラム遺跡の外からは、五つの入り口とサクベ(白い道)と呼ばれる道が整備されていて、町に入る場所には門番がいたのかな~。と想像したりして遺跡を楽しみましょう。
いくつもの宗教儀式のための建物があり、球戯場もあり、多くの建物が残されているエクバラムの中を一つづつ見ていこう。壁画やとってもきれいに残っている漆喰のアートなど、とにかく見どころが満載。
防護壁/ Defensive Walls

サイズ:95505.81㎡
石膏で覆われていて、町の周りに二つの同心円状の防護壁が配置されている。二重の壁になっていて、どちらも3mほど。
プレヒスパニック期の遺跡に、これだけの防護壁があるのは珍しい。
エクバラムの場合、敵からの攻撃を守るためのそれこそ防御のためのものという役割と言うよりは、ある特別な場所へ行くためのシンボル的な門のような役割だったと考えられる。
と言うのはキンタナロー州のトゥルム遺跡や、カンペチェ州にあるベカン遺跡の壁は幅が3から4メートル、高さが6メートルから10メートルほどありとても頑丈な作りでできている。
それと比べると、エクバラム遺跡の壁は小規模だから、敵から町を守るためにしては貧弱。。。ともいえる。
逆に内側の防御壁には、装飾が施されていた。
エントランス / The Entrance Arch / Estructura 18

防護壁を抜けて一番初めに出迎えてくれるのが、このエントランス。ここから町のメイン部分に入っていく。
このエントランスは、儀式的な意味合いが強かった。
記念碑1 / Stela1
発見されたのは建物14の近く。現在、この彫像があるのは楕円の宮殿(Oval Palace)の前に設置されている。
この記念碑・墓石には、Ukit Jol Ahkulという王様が表現されていると考えられる。
彼はたくさんの羽がついた鼻の長いモンスターのヘッドドレスをかぶり、左手には蛇をつかんでいる様子が表現されている。
64種類もの文字が描かれていて、石彫の裏側にまで文字が刻み込まれている。
刻み込まれている内容は、火の儀式について書かれていることが分かっている。 しかし保存状態が悪く、文字を解読するのはかなり難しい。。。
こんな感じ!!
アクロポリス

そしてこのエクバラム遺跡でとても重要なのがこのアクロポリス。
メキシコやグアテマラにわたり数多くあるマヤ遺跡の中でも、トップクラスに巨大な建築物だ。

そのサイズは幅が151m、横が60m。多少文献によってサイズに違いがあるけど、とにかくその大きさにびっくりします。
さらに高さが30mあり階段を上ると見ることができる装飾もとても美しい。上からの景色も最高。
王座 / El Trono (the throne)
アクロポリスの中間あたりにあるこの素晴らしいとしか言いようのない、凝りに凝った”王位”と名付けられた場所。王様は、メインの階段を使うわけでなく彼専用の階段で使者たちに担がせて上り下りをしていたとされる。
この装飾は石を削って作ったのではなく、漆喰や石灰石を固めて作ったもの。
この美しいマヤアートはヤシの木で作られた屋根で守られている。遺跡の中で働いているメキシコ人に、このアートは何年前のものなのか聞いたら、紀元前のものだよと教えてくれた。まじでか?
紀元前のものがここまできれいに残っているとはさすがに思えないけど、びっくりするほど美しいマヤの芸術作品にすっかりと魅了されてしまった。
西暦800年頃に生きていたUkil-Kan-Lek-Tokという王様のお墓。ってことは、やっぱり紀元前にできたと言うのは盛りすぎなのでは、、、。
蛇の頭
アクロポリスの階段を上っていくと、中間あたり両側に対になるように、この美しい蛇の頭の飾りがある。
大きく舌を伸ばしたデザインになっており、その下にはマヤ文字が刻み込まれている。
ここには当時の王様の名前、Ukit Kan Le’k Tok’が描かれている。
建物4 蒸気風呂と祭壇 / Estructura4 / Steam Bath
By Unknown author – Codex Magliabecchiano from the Loubat collection (on <a rel=”nofollow” class=”external text” href=”http://www.famsi.org/research/loubat/Magliabecchiano/”>FAMSI website</a>), Public Domain, Link
テマスカルとも呼ばれる、現代のサウナのようなもの。
石で作られた壁や天井で囲まれていて少しだけ天井に穴が開いている。その穴から蒸気が出ていく仕組みになっている。水を熱した石にかけて蒸気を発生させる。
出産したばかりの母親や、病気になった人の回復のために使われた。 もちろんマヤの王様もこの上記のお風呂でさっぱりしていた。汗をかくことでリフレッシュでき、さらに体を掃除することができると考えられていたから。
更には祭壇の役割もあったため、お風呂でさえ儀式の一つだったわけですかね。写真はありません!次回また。。。
建物9 球戯場 / Juego de Pelota / Estructura9
メソアメリカの遺跡には大体必ずと言っていいほど定番的にあるのが、球戯場。エク・バラム遺跡も例外なく球技が宗教の儀式として行われていた。
完成は841年。
建物10
建物は1建物2そして建物3と比べると小さな建築物だが、上に登れるようになっていて、小さな祠のようなお寺も見ることができる。
ほぼ真四角に作られた基礎に、緩やかな階段が設置されている。
かなり大きな石で構成されていて、大きな石のサイズは1メートルを超えるものもある。
建物の角は丸くなっていて、ユカタン北部のマヤ遺跡の建築様式とは異なったものである。これはグアテマラのペテンスタイルを取り入れたものと考えられている。
建物は縦が43メートル、横が30メートル、高さは約5メートル。
作られた時代は、下のベースの部分が西暦700年から1000年頃。さらに上部は西暦1200年から1542年頃に建てられたもので、近代に建築されたもの。
建物12
建物10と楕円形の宮殿のちょうど真ん中に位置する小さな建物で、ほとんど目立たない。
細長い作りになっていて、”3つ目の壁”とも呼ばれる。
中央広場に行く時に、ここを通らなければいけないような作りになっていたと考えられ、儀式へ赴く際の門になっていた。
この建物に上ることができたのは、限られた人にだけ許された特権だった。
ここに警備がいて、もし儀式に行けない身分だったりするとここで追い返されたのかな~。
この建物12は、西暦700年から1000年頃に建てられたもの。
建物15 / Chapel
中央広場の真ん中に位置する小さな建物で、残っているのは、人が1人か2人ぐらいしか入れない本当に小さなスペース。
ここはチャペルと呼ばれていて、祈りを捧げる場所だった。マヤの人はとても信仰深い人々だったんだなと、いくつものお寺や儀式のための場所があるとこから推察できる。
建物16 楕円の宮殿 / Estructura16
1階には10つの部屋が設置されていて、さらに上には2部屋の空間がある。
後ろに回ってみると、他のマヤ遺跡ではあまり見ないようなデザインになっていて、確かに楕円の宮殿と呼ばれるだけあって、楕円形のステップが印象的。
この建物は天体観測のために作られたものかもしれない。
建物の南西側には美しいアーチ型の玄関があり、壁のすぐ目の前にあったエントランスとは別の正式な玄関口だったのかもしれない。
建物17
そっくりな形のピラミッドが2つ隣り合わせで並んでいる。このピラミッドは2つ合わせて”双子”と呼ばれ、階段でつながっている。
2008年の研究で、部屋の中から黒い線と壁画が見つかった。幾何学模様の不思議な柄。どんな絵か知りたい方はリンクの”Figura 21.15: Murales de la Estructura 17”をご参照。


残念ながら、入り口は石が積み上げられていて、一般人は見る事ができません。。。研究者のみ!
参考資料:http://www.ecoyuc.com.mx/scripts/getpdf.php?key=ARTICLEPDF&id=16







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